建物を傷つけないリノベーション
- 7月29日
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更新日:23 時間前
物置と化してしまっているミーティングスペースを、
社内デザイナーたちのインスピレーションを刺激するような場所にしたい。
これが島津製作所さんからはじめにお聞きした話でした。

たしかに、なんとなく打ち合わせはできそうではあるが、ここそこに試作品のような、部品のようなものが置かれている合間にテーブルが置かれているような印象でした。
今回のプロジェクトは、デザイン室主導ということもあり、使う素材や設備、演出したい雰囲気から展示スペースの使い方からディティールまで、社員の方々からも様々なアイデアや提案があり、打ち合わせはさながら「提案」というより「同業同士のミーティング」といった雰囲気で進みました。


窓際のベンチ、開かれたミーティングスペース、商品展示にもホワイトボードにも使える間仕切りパネル、映像作品を映す大画面モニター、デザイナーが気軽に立ち寄ってブレストできるビッグテーブル等々。
そして大前提として重要なポイントは、建物を傷つけない、ということです。
この建物は新築してまだそんなに経っていない。たしかに内外装ともに新築に近い状態です。間仕切りはシステム家具で仕切られており、解体は問題なさそう。ただ、天井を見上げると照明システムが組み込まれた独自のパネルが使われています。また、窓際には空調システム装置が設置されています。

これらの条件をクリアするために提案したのが「トリカゴ」方式。
スペース全体をスチール製の格子で構成していき、一部の床と壁、そして天井の下地がある箇所に束のようにサポートを伸ばすことで、全体をひとつの大きな什器のようにつくりあげます。

造形に関しては、できる限りノイズのないようにしてほしい、というご要望に沿って、格子のフレームはギリギリ強度が保てる40mm角とし、ビッグテーブルとなる展示台はエッジが立つようなデザインに。そして天板のコーリアンやモルタル風の丸テーブルも全く継ぎ目のないようにしました。
ここで欠かせないのが宝島造形さんのエイジング技術。こちらは製作途中の工場の様子ですが、ひとつずつ丁寧に塗装と加飾を行い、まるで石を加工したかのような、パネルの柄はモルタルを塗ったかのような風合いに仕上がっています。この勢いに乗って、ワークスペースとの仕切りの壁には、フェイクですが緑化壁面に。



電気工事もなかなか特殊でした。ポイントごとにスイッチやコンセントが必要ですが、入念にルートを決めて、40mm角のフレームを通るように設定。最後の仕上げに、この場所を「DESIGN JAM」と銘打ってそれをLEDネオンサインで装飾しました。


打合せを重ねること約半年、お盆休み期間の10日間でこの工事を完了しました。
当初のねらい通り、造形のノイズが少なく、テクスチャの豊かさのメリハリが効いた、刺激的な空間ができあがりました。完全に壁で仕切っていなくても、十分にそれぞれの場が確保された空間ができたと思います。












photo Taeka Nagai


