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リノベは図面の外にある

  • 7月14日
  • 読了時間: 4分

巷では、リフォームやリノベーションは、新築よりも手軽で簡単な工事だと思われがちです。

でも、実際はその逆。私たちにとっては、新築以上に難しさのある仕事です。

 

現場では、「新築しか経験のない職人では難しい」とよく言われます。

新築は図面の通りにつくることが基本ですが、リノベーションは図面通りに進まないことが前提です。

なぜなら、そこには既存の建物があるからです。



長い年月を経た建物は、完全に水平・垂直ということはほとんどありません。わずかに傾いていたり、ねじれていたり、一方を合わせれば別の場所にずれが生じたりすることもあります。

そうした微妙な誤差を読み取り、一つひとつ調整しながら図面の意図を形にしていく。それがリノベーションの現場です。


職人さんたちは、観察力と経験、そして確かな技術で、その難しさを自然に吸収していきます。

もちろん、現場だけでは判断できないこともあります。そのような時は私たち設計者も現場へ向かい、職人さんと一緒に最善の方法を考えます。



既存建物の状態を事前にすべて把握できれば理想なんですけどね。実際には解体して初めて分かることも少なくありません。

想定より傷みが進んでいたり、補強が必要だったり。その都度、施工方法や使用する材料を見直し、場合によっては仕上げ材を変更することもあります。現場の状況にあわせたアレンジやアドリブが、現場にも設計にも必要なのです。


工程管理も新築とは大きく異なります。

新築では3〜4か月ほどの工期が一般的なので、小さな変更があっても全体の工程の中で調整できることがあります。

一方、リノベーションの工期は1か月半程度、内容によっては3週間ほどというケースもあります。

工期が短い分、わずか1日、2日の遅れが全体に大きな影響を与えることがあります。


しかも、多くの職人さんが限られた日程の中で順番に現場へ入るため、一つの工程が遅れると、その後の工程も連鎖的に動かなくなってしまいます。

だからこそ、リノベーションでは工程管理がとても重要になります。




見積りにも同じようなことが言えます。

新築では、木造・外壁・屋根など建物全体の仕様が金額に占める割合が大きく、内装や設備を変更しても全体への影響は比較的限定的です。

一方、リノベーションは内装や設備工事が中心になります。「この部分を施工するかしないか」「設備のグレードをどうするか」といった選択が、工事費全体に大きく影響します。

住まわれる方にとっても、構造や基礎より、毎日目にする内装や設備のほうが実感しやすい部分です。

そのため、仕様を少し変えただけでも、見積りが大きく変わったように感じられることがあります。

特に小規模なリノベーションほど、その傾向は顕著です。


新築では、大工さんが数か月現場にいるため、「ついでにやっておきましょう」という対応ができることもあります。しかしリノベーションでは、多くの職人さんが限られた時間だけ現場に入ります。

一つの作業のためだけに改めて日程を確保する必要があるため、その分の費用も見積りに反映されやすくなります。


そして設計もまた、新築とは違う難しさがあります。

デザインや機能性を考えるだけではなく、「現場で本当に施工できるか」「きれいに納まるか」「既存の建物と無理なくつながるか」といったことを、設計の段階から何度も検討しなければなりません。

図面は完成形ではなく、現場との対話を重ねながら実現されていくものです。

既存建物を見て、図面を見て、職人さんと相談し、また図面を見直す。その行き来を何度も繰り返しながら、一つの住まいをつくり上げています。




だからこそ、すぐに「できない」「わからない」と言う職人さんとは一緒に仕事をするのは難しいです。どうやったらできるかな、このほうがいいかな、問題点や、目指していく方向が共有できないとこの短期間で複雑なプロジェクトがうまく流れていきません。



世の中の多くのリフォーム・リノベーション会社も、こうした難しさと日々向き合いながら仕事をしています。

私たちもまた、その一つひとつの現場から学び、より良い住まいづくりができるよう、これからも技術と知識を磨き続けていきたいと思います。






 
 
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